TASTE OF CENTURION vol.3

もの

福井洋傘

大本山永平寺御用達 蛇の目洋傘

右:蛇の目洋傘・かきつばた(35,640円~)、 左:蛇の目洋傘・柿(35,640円~)、
奥:浮織の名品傘・バラ(39,960円~)

「蛇の目」傘といえば江戸中期に流行した伝統工芸品。「洋傘」はといえば、江戸末期の黒船とともにやってきた舶来品「蝙蝠傘(こうもりがさ)」をルーツに、戦後に目まぐるしい技術革新をとげて世界的なヒット商品となったビニール傘の発明につながる。その和洋の出会いを演出したのが福井洋傘である。メガネフレームの技術を生かした合金製の24本の骨。そこにポリエステルを紬の様な風合いで織り上げて混織羽二重を再現した張地。ピンと開いたときの優雅な曲線、透過する光、雨音まですべてが格別である。また、手許(持ち手)と石突(傘の頭)は木製で河田塗りの本漆仕上げ。そして蛇の目洋傘の最大の特長は2段階式の開き。開く角度を1段落とすと、直線的で粋な蛇の目独特のシルエットに変化する。傘の歴史は4千年前のエジプト時代に遡り、インドでは貴族や高僧の日除けに使われていた。仏教では傘の骨が後光を表すともいわれ、仏事や神事に欠かせない道具となった。蛇の目洋傘は、これまで和傘が担っていたその役割を引き継ぎ、曹洞宗の総本山・永平寺から御用達を承っている。伝統や文化は、常に生まれ変わりながら継がれていく。

Photo by Hitomi Wakui
Text by Kazuhide Miyata

福井洋傘

1000年以上もの歴史がある手漉き和紙や漆塗り。陶芸、打ち刃物などの伝統工芸。そして人絹やメガネフレームなど世界的な工業品まで、福井県の技術力はハイレベルである。蛇の目洋傘は、その集積から生まれたといってもよい。全国の有名百貨店で取り扱いがある。

株式会社福井洋傘
福井県福井市浜別所町4-4-2
TEL.0779-85-1114