MUSIC BAR TOUR 渋谷

音楽と酒と料理の共演

1本の長いカウンターが奥へと伸びる。レコード棚の前にはターンテーブルが2台並びジュークボックス式に1曲ごとに盤が変えられる。

Song of Heart.
1枚のレコードと満杯の酒を求めて。

めまぐるしく姿を変える渋谷駅にほど近いビルの地下に、1970年代からまったく変わらない空気を湛えたバー「グランドファーザーズ」がある。音楽へのこだわりは、LPレコードで聴く70年代のロックやAORの名盤。しかも、片面全部をかけるのではなく、2台のターンテーブルを使って1曲ごとに盤を変えていく。選曲はレコード担当者(DJとは言わない!)に委ねられているが、リクエストにも応えてくれる。1971年に初代オーナーが一橋大学に在学中に開店し、まだ珍しかった学生起業として話題になった。当時新宿で流行っていたジャズ喫茶に対抗して、渋谷でロックンロールを、という鮮やかな差別化でファンを獲得し伝説のバーになっていった。ブリティッシュロックが衰退するとビルボードのヒットチャート中心にシフトしたり、CD化が進んでレコードのコレクションが難しくなった時期もあったが「心に残る音」を求める姿勢は変わらない。

2代目オーナーの石川徹さんは開店からまもない1972年に学生アルバイトで入り、卒業後そのまま社員になった。音楽を聴きながらアルコールを楽しむというスタイルに新鮮さを感じたという。店内だけで2千枚のLPレコードがコレクションされていて、どの盤であってもすぐに手がのびる。好きなレコードは?と尋ねてもあえて答えてくれなかったが、代わりに開店当時によく流していたキャロル・キングと、新しいオーケストレーションとのリミックスで話題になったアレサ・フランクリンの新譜を教えてくれた。ギネスドラフト700円、あたりめ700円

東京・渋谷
Rock'n roll Music Inn GRANDFATHER'S

渋谷駅の宮益坂方面10番出口を出て明治通りを原宿方面に少し行くと小さな看板が見える。そこが70年代へのタイムマシンの入り口。もちろん喫煙も自由!

東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビルB1F
TEL.03-3407-9505 17:00-27:00