奈良 世界遺産 古都奈良の文化財を巡る vol.1 Around the cultural property in Ancient city Nara

奈良市は、街全体が一つの文化遺産です。
1998年には施設・史跡・天然記念物など8つの資産が
「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されました。
それ以前から都市計画に厳格なルールを設けて歴史的な景観を守り続けたこの街は、
今も在りし日の姿を留め、国内外からの旅人を感嘆させます。
今回は、東大寺をはじめ千年もの時を遡る3つのお寺をご紹介します。

SPOT1 東大寺 Todaiji

仏教による国家鎮護を目指した聖武天皇は743年、盧舎那大仏造立の詔を出します。その大仏像を安置する御堂として完成したのが大仏殿です。以降、40年近くかかって堂塔が建築され伽藍が整いました。大仏殿は二度焼失し都度再建されます。現在の建物は江戸時代に完成した3度目のもので、世界最大級の木造建築物で国宝です。「奈良の大仏」として親しまれる東大寺盧舎那仏像の高さ(座高)は14.98m、手のひらは2.56m、その存在感には圧倒されます。

南大門と金剛力士像

南大門は平安時代に大風で倒壊しましたが、鎌倉時代に再建されたものが現存しています。門の高さは25.46mを誇り、日本最大の山門です。南大門の両側で睨みをきかせているのが金剛力士像。口を開いた阿形像と閉じた吽形像で、2体を一対とし仁王(二王)とも呼ばれています。金剛力士像は、平安時代末期から鎌倉時代初期に活動した仏師・運慶が総指揮を執り、69日間をかけ2体同時進行で造り上げたことが昭和の修復で証明されました。

SPOT2 唐招提寺 Toshodaiji

聖武天皇の招きに応じ、苦難の末、来日をはたした唐僧鑑真和上によって建立されます。その後8世紀後半に鑑真和上の弟子・如宝が金堂を完成させました。奈良時代建立の金堂として唯一現存している貴重な建築物で、創建時の姿を残しています。金堂には中央に本尊である盧舎那仏座像、向かって右に薬師如来立像、左に千手観音立像という3体の巨像と、梵天・帝釈天立像、四天王立像が安置され、厳かな雰囲気に包まれています。いずれも国宝。金堂正面の回廊を支える見事な8本の太い柱は、光と影の美しいコントラストをつくり、この建物の見所です。柱は中央が膨らんだ形状を持ち、ギリシャやローマの神殿の柱と同じ形でエンタシスと呼ばれています。

SPOT3 興福寺 Kohfukuji

平城京への遷都に際し、藤原不比等が飛鳥から移築した厩坂寺が前身です。古都奈良を象徴するのが高さ50.1mの五重塔。日本で2番目に高い木造の五重塔で1426年に再建されました。本瓦葺で奈良時代の特徴を随所に残しつつ、中世的で豪快な手法も取り入れた力強い印象の国宝です。2018年リニューアルした国宝館には数多くの国宝・重要文化財を収蔵し、奈良時代のものとして八部衆立像、十大弟子立像、鎌倉時代のものは天燈鬼立像、竜燈鬼立像、金剛力士像などがあり、なかでも八部衆の一人である阿修羅像はひときわ人気があります。日本で最も大きい八角円堂とされる南円堂は江戸時代に再建されたもの。堂内には本尊不空羂索観音菩薩坐像などの国宝が安置されています。

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